バルサが支配率を下げた要因は?
守備を固めてカウンターを狙うマドリーを相手に攻撃に出過ぎれば、相手の思うツボ。バルサはマドリーのカウンターを警戒し、守備を意識しつつ慎重に1点を奪うというプランを持ってこの試合に臨んでいた。ある意味では、バルサはかつての“ポゼッションサッカー”を捨てたともいえる。
そして、その狙いは52分にネイマールのFKにスアレスが合わせて決めた先制ゴールで果たされた。
その直後に、1点を獲ったバルサはラキティッチに代えてイニエスタを投入した。ここでアンドレ・ゴメスを残したのも、まだマドリーのカウンターを警戒しつつ、より支配力を高めるためだろう。
その後、マドリーはインサイドハーフのイスコに代えてカゼミーロをアンカーに投入。モドリッチをインサイドハーフに移し、本来の攻撃タスクを与えることでチームの攻撃力アップを狙った。
結局、試合は終了間際にセルヒオ・ラモスが同点ゴールを決めて1-1で終了。勝ち点1を分け合うこととなったが、どちらにとっても想定内の結果だったはず。バルサにとっては出来れば勝ちたかったが、最悪ドローでもOKと考えていたはずだ。
かつてはクラシコで互いに守備的な戦いをしての1-1という結果にはブーイングが響いていた可能性もあったが、今回の試合内容にブーイングをする人は少ないのではないだろうか。
戦力・戦術ともに世界トップの戦いは、守備を重視したゲームプランであっても見応えが十分にある。世界のサッカーはもはや「攻撃的=面白い」ではない。
ただ、理想を言えばこういった試合こそ、イニエスタとベイルを90分加えた状態で観たかった。「バルサの支配力=イニエスタ」「マドリーの突破力=ベイル」というチームの軸となる2人がキックオフからいれば、また違った展開を楽しめたはずだ。
(文:海老沢純一)
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