復帰した背番号「10」
第1戦で復帰した柴崎岳【写真:Getty Images】
第1戦で見せた球際に激しい守備は、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が好んで口にする『デュエル』が、和訳すれば「決闘」を意味するフランス語が存分に具現化されたものでもあった。
最終ラインを形成する槙野智章や遠藤航も大きな手応えをつかんだところへ、チケットが前売り段階で完売。3日は約5万9000人が詰めかけて、真っ赤に染まるスタンドが堅守をさらに後押しする。
アントラーズにとっては不利な条件ばかりが並んでいるが、昌子を中心に最少失点でしのぎ切った粘り強い守備とともに、第2戦へ向けて明るい材料を残してもいる。痛恨の失点から5分後の62分。右足親指の付け根を痛めて戦列を離れていたMF柴崎岳が、MF中村充孝に代わって途中出場。38日ぶりに公式戦のピッチに立った「10」番は、2分後にいきなり魅せる。
左サイドでMF永木亮太があげた浮き球の縦パスを、右サイドから回ってきたMF遠藤康が胸で後方へ落としたところに走り込み、バランスを崩すことなく右足を一閃。的確にボールをとらえる。
強烈なダイレクトボレーは左側ゴールネットの外側をかすめてしまう。しかし、アディショナルタイムの後半47分には波状攻撃から、最後は左サイドから絶妙のクロスをゴール前へ供給している。
「点を取って、流れを変えたいと思っていた。シュートまでいけたシーンが前半なかったので、しっかりとゴール前まで入って仕事をしたいと思ってもいた。結果がついてこなかったのは残念ですけど、ホーム&アウェイで挽回できるチャンスがまだある。やるべきことをしっかり整理して、次の試合に備えたい」
前半はまさかのゼロに終わったアントラーズのシュート数は、一転して後半は11本を数えた。柴崎自身は淡々とテレビのインタビューに答えたが、金崎と並ぶ最多タイの3本の
シュートを放っている。
冷静な立ち居振る舞いとは対照的に、熱い思いを胸に秘めて攻撃陣を活性化させたのだろう。ピッチで躍動する司令塔に、石井正忠監督も「失点した後の戦いが理想的」と柴崎の復活に手応えをつかんでいる。