無意味な批判が出ず。ジダンはレアルに適任か
バルサか、マドリーか。同じスペインに存在する世界トップの2クラブは、100年以上の長い年月で競い続け、スペインサッカーに魅了された多くのファンを二極化させた。
出生地や政治的な背景など様々な理由が重なるが、我々日本のファンにとっては所属する選手やユニホームのデザイン、クラブ理念への共感などが理由となるだろう。実際、この2クラブは多くの点において対照的な姿を見せている。
それはピッチ上での戦い方にも色濃く反映されている。バルサの最大の武器は、多くの時間でボールを保持して自らが主導権を握る支配力。対するマドリーの武器はクリスティアーノ・ロナウドやガレス・ベイルといった強靭なフィジカルを持つ選手たちによる速攻である。
直近5シーズンの公式戦での対戦成績はバルセロナが8勝、レアル・マドリーが7勝、ドローが4回と、ほぼ五分の成績となっているのは、この対照的なスタイルがある意味噛み合っていることが要因でもあるだろう。
しかし、バルサが強い信念を持って支配力を高めているのに対して、マドリーの場合はボールを持って主導権を握ることが理想としながらも、結果的にカウンターの強いチームが出来上がっているという印象がある。過去、多くの監督がいわゆる堅守速攻を採用するたびに地元のファンやメディアが“面白くない”と反応した。
そいった意味で、ジネディーヌ・ジダンはマドリーにとって最適の監督なのかもしれない。かつて“銀河系軍団”と呼ばれたチームにおいて、唯一無二の光を放っていたジダンは、指揮官としては勝利を追求した現実的な戦い方を選択できる人物であり、現在のところ周囲はジダンというレジェンドに対しては無意味な批判の目を向けない傾向にあることがうかがえる。