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好調リバプールに浸透する“クロップ・イズム”。現地記者が見た“兄貴分”の人心掌握術とは

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

常に前向きなクロップ。27年ぶりの戴冠へ挑戦は続く

リバプール
リバプールは1989/90シーズン以来のリーグ優勝に向けた戦いを続けている【写真:Getty Images】

 開幕前、クロップはリバプールのスカッドについてこう述べている。「(2年目の)いまのスカッドは私のスカッドだ。ここにいる選手で私が不要だと考える選手はいない。売りたくない選手は売却していないし、契約したくない選手とはしていない」。つまり現在のリバプールは、クロップが考える“現状では”ベストなスカッドということだ。

 とはいえ、コウチーニョが右足首の靱帯を痛めて6週間の離脱となり、さらにララーナやフィルミノ、スタリッジもケガをしている状況だ。また1月初旬からはマネがセネガル代表としてアフリカネイションズカップに出場する予定で、チームを離れることになる。

 それでもあくまでも前向きなクロップはいう。「フィリペは素晴らしい選手だが、彼だけでは試合に勝てない。ドリブルもでき、シュートもできる。フィリペは非常に重要な選手だが、すべてはチームパフォーマンス。私たちなら対応できる。離脱しているのは質の高い選手たちだが、言い訳はどこにもない。彼らがいなくてもサッカーができることを見せるだけだ」。

 開幕直前、クロップはピアーズ記者とのインタビューでこう話したという。

「キープレーヤーを必要とすることは必要だ。だが、チームがサクセスになる状況をクリエイトしなくてはならない。その状況とは、自分たちのことをポジティブに思い、強いと感じ、時には我慢して一つの集団として維持することだ」

 2013/14シーズンはスアレス一人でチームをけん引したが、今のチームは指揮官であるクロップを中心にできているチームだ。すべての選手がチームのために走り、チームのために得点する。ここまで32得点のうち、11人の異なる選手がスコアシートに名前が載っているのも、何ら偶然ではないだろう。

 現状ではまだ、優勝の筆頭候補に挙げる人は少ないだろう。しかしながら、クロップの目指すコレクティブで攻撃的なサッカーは、確実にチームに浸透している。まだ就任から14ヶ月弱で急成長しているだけに、27年ぶりの戴冠に向けて今後半年の間にさらに逞しくなっても何ら不思議ではない。

(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

【了】

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