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好調リバプールに浸透する“クロップ・イズム”。現地記者が見た“兄貴分”の人心掌握術とは

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

選手たちが感じた「信頼」

ワイナルダム
クロップ監督のサッカーを「楽しい」と語るジョルジニオ・ワイナルダム【写真:Getty Images】

 バック4の前に座るのは、前述のヘンダーソン。インサイドハーフにはエムレ・ジャンとジョルジニオ・ワイナルダム(もしくはミルナーやララーナ、ルーカス・レイバ)が入る。このインサイドハーフの選手2人は上下運動を繰り返し、守備のときには素早くリトリートして、攻撃では前線まで駆け上がりアタッキングオプションを増やすため、とても重要な役割を担う存在だ。

 ワイナルダムは、「監督はスピーディーな動きを選手に求め、ボールも素早く動かすように指示する。初めは慣れなかったが、チャンスは多いし、サッカーが楽しくなる」と話している。ちなみにジャンやロブレンはこれまで、今ひとつリバプールでポテンシャルを発揮できていなかったわけだが、今季は継続して安定したパフォーマンスをしている。両者は「監督が信頼してくれている」と声を揃えているところも、指揮官への信頼の高さが伺える。

 話をもとに戻すが、今季の好調はなんといっても前線の爆発力によるところが大きい。サディオ・マネ、フィリペ・コウチーニョ、ロベルト・フィルミノの3人でチームの半数となる16得点(リーグ戦のみ)を奪っているが、これらFW陣はポジションを変えて流動的に動き回りながら、敵の守備陣に的を絞らせない。さらに3人ともスキルが高くドリブルがうまいうえ、どこからでもシュートを打ってくる怖さも併せ持つ。

 例えば6-1と大勝した今月6日の対ワトフォード戦では、オンターゲットのシュート本数が17本(オフターゲットを合わせた総本数は28本)で、この記録を取り始めた2003/04シーズンからでは最多本数だという。

 さらにここに、3年目にしてチームに完全にフィットしたララーナ、怪我がちながら出場すれば相変わらずのテクニックを見せつけるダニエル・スタリッジ、また直近のサンダーランド戦で得点したディボク・オリジといった攻撃的な選手が加わるのである。

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