失うものはなく、得るものばかり
「どんな形でもチャンピオンシップに進みたいと思います。アントラーズはトーナメント戦が得意なので、とにかく出場権を確保したいですね」と西大伍は6月に話していた。ファーストステージで2位にいた鹿島が3位浦和にアウェイの埼玉で2-0の勝利を収め、2試合を残した時点で6ポイントの差をつけた試合後のことだった。
その勝利の翌週に首位浮上を果たした鹿島は、そのままファーストステージ王者のタイトルを手に入れた。今シーズンを通して、石井正忠監督のチームがリーグ首位に立っていたのはファーストステージの第16節と第17節終了時の2週だけだ。
対照的に、先週水曜日のチャンピオンシップ準決勝で鹿島に0-1で敗れた川崎フロンターレは計21週を首位で過ごしていた。
それでもフロンターレは今回もリーグタイトルを逃す結果となり、アントラーズは通算8度目の年間タイトル獲得まであと2試合に迫っている。ここ数ヶ月間を“流していた”チームは、何も失うものはなく得るものばかりという状況を迎えて再び気を引き締めている。
アントラーズはリーグのルールを完璧に近い形で利用し、フィジカル面でもメンタル面でもラストスパートまで力を温存してきた。ファーストステージの最後に勢いを増し、6連勝でレッズとフロンターレを振り切った時と同じような戦いを見せられるようにするためだ。
「ファーストステージの頃にも言いましたよね? チャンピオンシップになれば僕らは強いですよ」と西は水曜日のフロンターレ戦勝利後に改めて話していた。「僕らは挑戦者なんです」とも付け加えた。
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