頻発した故障者の離脱
風間八宏監督のもとで超攻撃的なサッカーを志向して5シーズン目。攻守両面で最高のハーモニーを奏でたフロンターレが、レッズが待つ決勝を前になぜ一敗地にまみれてしまったのか。理由のひとつに、最後まで食い止めることができなかった、故障者の連鎖があることは言うまでもないだろう。
アントラーズとの準決勝は、ともにハリルジャパンに選出された小林が左太もも裏の肉離れで、MF大島僚太が左ふくらはぎ痛でベンチ入りメンバーから外れた。シーズン中に3度も戦線離脱を強いられた36歳の中村も、強行出場を続けてきた反動となる左股関節痛でベンチスタートとなった。
攻撃陣の主力を3人も欠く苦境で、風間監督は「3‐4‐2‐1」で戦うことを選択。ボランチに板倉滉、シャドーに三好康児のU‐19日本代表コンビ、ワントップに順天堂大学卒のルーキー・長谷川竜也が配された布陣を見て、アントラーズのMF遠藤康はこんな言葉をチームメイトたちと交わしたという。
「憲剛さん(中村)と大島(僚太)が出ていなかったので、前からプレッシャーをかけていったら、けっこうボールを取れるんじゃないかと。それが上手くいったというか、前からいったときはボランチのところでボールを取れたし、そういうのが徐々にボディブローみたいに効いていったのかなと思っています。
準決勝へ向けた練習の段階では『ブロックを敷いて戦おうか』という話もみんなでしていたんですけど、最後は実際に試合のテンションを見ながら『いけると思ったときはいこう』となった。それが鹿島らしさでもあるし、引いて守るだけではやっぱり勝てないので」
しかも、自陣からのロングボールに抜群のタイミングで飛び出した長谷川が左太ももの裏を痛め、前半21分で交代を余儀なくされる想定外のアクシデントが発生する。ガンバ大阪とのセカンドステージ最終節で初ゴールを決めた長谷川は、実は今シーズンだけで筋肉系の故障に3度も泣かされている。
他にもFW森本貴幸、DF奈良竜樹、井川祐輔、エドゥアルド、武岡優斗、登里亨平、GKチョン・ソンリョンといったメンバーが、シーズン中に決して短くない期間の離脱を強いられている。試合中の不可避な故障もあるが、チームとして何らかの問題を抱えていたともいえるだろう。