CSという「別物」の戦い
「この後は別物の戦いになってくる」
川崎フロンターレの中村憲剛は、J1の2ndステージ最終節を終えてチャンピオンシップ(CS)を「別物」と表現した。そしてその通り「別物」だった。
23日に行われたCS準決勝。試合会場へ向かう途中で『スカパー!オンデマンド』のアプリを見ていると、勝敗予想投票者のおよそ60%が川崎Fの勝利を支持していた。たしかに年間順位やリーグ終盤戦の鹿島アントラーズの状態を考えればそうなるのも妥当だろう。
しかし、結果は鹿島が1-0で勝利。まさしく「別物」の戦いを見せつけてくれた。
鍵となったのは守備だ。そもそも今季からCSのレギュレーションが変わり、90分間で引き分けの場合は延長戦やPK戦を行わず、年間順位が上のチームが次のラウンドへ進む。つまり絶対に勝利が必要な鹿島としては先に点を取られてしまうとかなり苦しくなってしまう状況だった。
鹿島の守備陣はリーグ戦以上に徹底したリスク管理を求められ、それを前半から確実に遂行して見せる。4バックと2ボランチが距離を詰めて危険なスペースを消し、川崎Fのパス回しを外へ外へと追いやっていく。
ファン・ソッコも「川崎Fはバイタルエリアを突くのが本当にうまく、そこに対しての動き出しや入ってくるパスも正確。チーム全体で守備の意識を高めて、中を締めて外に追い出すような形が前半からうまくできていた」と手応えを感じていた。
川崎Fの攻撃がうまくいっている時は、相手ペナルティエリア手前の中央のエリアで細かくパスがつながり、守備のマークをずらしながらスピードを上げてゴール前へ侵入していく形が多く見られる。多くのチームが川崎Fの破壊力に苦しめられてきたが、鹿島はその形を消せるだけの守備力と自信に溢れていた。