風間八宏監督【写真:ダン・オロウィッツ】
23日に明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ準決勝が行われ、川崎Fは鹿島に0-1で敗れて決勝進出を逃した。風間八宏監督は、悔しい気持ちをのぞかせながらも、チームの成長を誇っている。
J1で年間勝ち点2位となった川崎は、50分に金崎夢生に先制弾を許すと、猛攻実らず敗戦。浦和が待つ決勝にたどり着くことができなかった。
風間監督は、「入らないときは入らないものだな」と振り返る。しかし、「選手たちには自分たちが勝つんだという気持ちがあった。僕がきたときと比べると、はるかに自分たちが強いチームだと自覚している。すごくたくましくなった」と、チームの成長を喜んだ。
「本当に残念ですけど、今日の試合に負けてしまった。ただ、全てのところで敗者だとは思っていない。非常に素晴らしい戦いをした敗者で、次につながると思った一戦です」
19分に長谷川達也が負傷し、川崎Fは中村憲剛を投入した。これでゲームプランが狂ったのではないかという指摘があると、「もちろん…。でも誤算というか、そんなに計算していないですよ」とあっさり。「90分なので、生き物なので…、覚悟しているだけ。最初からプラン通りにいく試合なんて一度もないです」と語り、「憲剛を入れたときに、どうやったら一番生きるかなと思ってシステムを変えただけなので、プランが狂ったというよりも、普通のことになったというだけ」と話した。
そして、改めて川崎Fの成長に触れている。「この試合では、1点が足りなかっただけ」と語る指揮官は、「今シーズンは一番悪くても3位。今まではすべてが非日常だったが、今はこれが日常で、それはすごい進歩です。誰一人、違うメンタルでくる選手はいないし、相当強くなったと思う」と続けた。
シーズンを通して安定した強さを見せた川崎Fだが、CS決勝にはたどり着けなかった。一発勝負の怖さを感じたかと問われると、「僕は気が弱いので、毎試合怖いです。毎試合怖いから、みんなに『変わらないね』って言われるだけ」と、笑いを誘う。そして、「一発勝負は誰も勝ち負けを約束できない。何があっても続けることが大事。負けてしまったが、このチームに残った財産は大きい」と述べている。
今季で退任することが決まっている風間監督。来季について問われると「ここで言うことではないので、控えさせてもらいたい」と返答した。自身がチームに残したものについては「考え方と技術」と答え、「『君たちが本気になれば、必ずトップにいられる』。それを信じること。そして技術は絶対に裏切らない。そこを突き詰めてやってきた」と、川崎Fの成長を振り返った。
風間監督体制で歩んだ5年間で、川崎Fの多彩な攻撃サッカーは見る者を魅了し続けた。悲願の初タイトルに向けて、今回の悔しさも成長の糧にしてほしいと、指揮官は願っていることだろう。
(取材:チェーザレ・ポレンギ、文・構成:編集部)
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