風間体制ラストシーズンの川崎
優勝が望まれて久しい川崎フロンターレは、『今シーズンこそ』という気持ちで挑んでくるだろう。風間八宏監督の退任が決まっており、名古屋グランパスの監督就任が濃厚という報道もある。また、昨シーズンまで3年連続J1得点王となった大久保嘉人もFC東京への移籍が決定的という。さらに小林悠にも移籍の噂が飛び交っている。そうした状況の中、このチームでタイトルを獲るには文字通り、今シーズンがラストチャンスだ。
風間監督体制になって5年目。チームの成熟は目を瞠るものがあり、特にサッカーの楽しさに溢れた多彩な攻撃は見る者を魅了し続けた。韓国代表としてW杯にも出場したチョン・ソンリョンの獲得もあって、守備力も強化された。
中村憲剛は相変わらずリーグトップレベルの司令塔で、大島僚太は10番にふさわしい選手へと進化を遂げた。三好康児、板倉滉といったアカデミー育ちの若手も台頭してきた。大久保、小林が移籍するのなら、彼らも優勝を置き土産としたいはずだ。その小林は2ndステージ第16節の鹿島戦で左ハムストリングを痛めたため、準決勝は欠場の可能性が高い。決勝に進出すれば強行出場もあるかもしれない。背番号11は仲間たちが鹿島を下してくれることを願っていることだろう。
試合展開としては川崎Fがボールを保持しながら進むと思われるが、CSの前哨戦となった2ndステージの対戦では鹿島がシュート数で圧倒。ラインを高めに保ち、相手のパスを遮断することにも成功している。その中で川崎Fが1-0で勝利を収めている事実は興味深い。ち味を消されながらも勝利するのは鹿島の十八番だからだ。今回の準決勝でどのようなゲームが展開されるか、楽しみな部分は多い。
【次ページ】悲願の初タイトルか、常勝軍団の勝利か