怒涛の追い上げ。9連勝フィニッシュで2位に食い込む
これまで率いてきたチームで、小林監督は人情に厚い一面も見せてきた。全体練習後に居残ってボールを追う若い選手たちを、必ずといっていいほど最後まで見つめている。そこにあるのは「試合に出られない選手たちにとっては一番大切な時間」と成長を願ってやまない、親心に近い思いがある。
今シーズンのエスパルスでいえば、ともに21歳の金子と三浦、すべて途中出場ながら9ゴールを決めている20歳のFW北川航也、シーズン中盤から左サイドのレギュラーを完全に獲得した23歳のMF白崎凌兵たちが、指揮官が見守る対象となってきた。
チームの誰しもが「最大のターニングポイント」と位置づける、10月2日のセレッソ大阪戦。前節で松本山雅FCの前に一敗地にまみれていたエスパルスは、敵地ヤンマースタジアムに乗り込んだ一戦でも1点のリードを許したまま、後半のアディショナルタイムを迎えていた。
果たして、再び鄭大世をして「あの試合が引き分け以下だったら、間違いなくこの結果(昇格)はない」と言わしめるセレッソ戦は北川、白崎の連続ゴールで奇跡の逆転勝ちをもぎ取る。2つのゴールをアシストしたのは、大前に代わって途中出場していた金子だった。
セレッソ戦を含めた最後の9試合で、エスパルスはすべて白星をゲット。怒涛の追い上げで最終的には勝ち点84で松本山雅に並び、得失点差で大きく引き離してJ1へ自動昇格できる2位に食い込んだ。26ゴールで得点王を獲得した鄭大世、左肋骨骨折及び肺挫傷で3ヶ月のブランクを強いられながらも3位タイの18ゴールをあげた大前の存在は、確かに相手チームに対して脅威を与えた。
「後半戦は相手がベタ引きしてくれたほうが点を取れるようになったし、むしろ楽だった。前からガツガツ来られたほうがウチのボランチを潰されたりして、リズムを出せなかったので」