インテルが陥った2つの不測の事態
特に、チリ代表でのプレーが評価されてCB起用されたガリー・メデルは、鋭い出足のインターセプトでバッカにボールを触らせず、また着実なカバーリングでゴール前に相手選手を進ませなかった。
一方のピオーリ監督によれば、「メデルのCB起用は攻撃面を考えてのことでもあった」という。最後尾の彼からは正確なパスが放たれ、ビルドアップのスピードが上がる。こうしてイバン・ペリシッチやアントニオ・カンドレーバに素早くボールが入り、最終ラインからは2、3本の展開でゴールに行くような攻撃でミランを押し込む。このスピード感は、前任のデ・ブール時代にはなかったものだ。
しかし、この勢いは2つの局面で崩れた。まずは、そのメデルが故障で交代を余儀なくされたこと。37分に投入されたジェイソン・ムリージョは、ポジショニングに乱れを見せる。ミランはそこを突いて危険なカウンターを繰り出し、2度目で前半43分の先制点に結びつけている。
もう一つは、ミランの右ウイングにスソがいたことだ。サイドのスペースも消されてカウンターを繰り出すのが難しい状況ながら、彼だけは巧みに位置を取りつつ攻撃の流れを作った。
インテルの左SBクリスティアン・アンサルディの視野から逃れ、スペースを使ってイニャツィオ・アバーテやユライ・クツカとの連携でボールを運ぶ。完全にアンサルディを翻弄した彼は、カットインから振り幅の小さい左足のシュートで先制ゴールを決めた。
こうなれば、ミランはスソを軸に攻め立てるのみだ。虚を突かれてカンドレーバに同点ゴールをねじ込まれた後の後半13分、スソはアンサルディをあっさりとかわして前線にパスを出し、右サイドに流れたバッカへ通したのちにあっさりとインテルDFラインの間のスペースへ移動する。
そしてゴール前でフリーになってリターンを受けると、ムリージョをかわしてシュートをねじ込む。これで5ゴール目。劣勢の中で攻撃を組み立て、得点へと絡むプレーぶりは、今のミランでの絶対的な立場を雄弁に物語るものだ。