「はっきり言うけど、よくここまで来ている」(田中隼磨)
そして、チーム最年長の34歳にして精神的支柱のMF田中隼磨。シーズン途中の6月に「右眼裂孔原性網膜剥離」で戦線離脱。緊急手術と懸命のリハビリを経て復帰した9月11日の京都サンガ戦から、まるで何事もなかったかのように11連続先発フル出場を続けているタフガイは、気持ちの切り替えがもっとも大切だと訴える。
「エスパルスが8連勝? もうスーパーだし、どうしようもない。だけど、俺たちもスーパーだよ。ここまで16試合連続で負けなしで来ていたからね。はっきり言うけど、よくここまで来ているよ。だからこそ負けるときもあるから、もう切り替えてやるしかない。とにかく他力になるけど、次に必ず勝って状況を見ます。
プレッシャーはたくさんあった。ただ、サッカーはそんなに甘くないし、こうやって試練を与えてもくれる。それらに打ち克ってこそ、昇格できるチーム。今日もプレッシャーではなく、自分自身に負けた。それは全員がわかっている。だからこそ、ここにきて何か新しいことをするのではなく、自分たちのスタイルを信じて、仲間たちを信じて、最後まで松本山雅らしいサッカーをして勝ちます」
黒星を喫したうえにJ1への自動昇格圏から転落し、さらに自力での2位以内への浮上がなくなっても、選手たちに浮き足立った様子はない。そこへ修羅場の戦い方を熟知する反町監督のマネジメントが加わる。横浜FC戦へ向けたコントロールを問われた指揮官は「驕りうんぬんと言いましたけど、実はそういう選手はあまりいない」とこう続けた。
「メディアも松本のローカル局を含めた全局が練習場に来て、インタビューするような状況になるのはやむを得ない。それをどのようにして勘違いしないように上手くもっていくか、というのが私の力なので。
そういうことも選手たちには話しましたけど、そうやってもち上げられている分だけ、あるいはずっと負けがなかった分だけ、もしかしたら膿というものが溜まっていて、今日の試合の特に前半に出てしまったのかなと。
まあ膿が出れば快方に向かうと思いたいし、そうした傷口を早く治すのも私の仕事ですから。次は日曜日のゲームなので、休みも入れて十分に時間があるので。しっかりとトレーニングをしながら、この1週間をもう一度チャレンジ精神をもってエンジョイしたい。
最終戦までもつれることを嬉しく思いながら、まずは我々がしっかり構えて、選手たちを観察して、いい形で最後の90分間へ送り出す。まあ、最後の90分間にならないかもしれないけど」