大詰めを迎えたJ1昇格争い
松本山雅FCではキャプテンを務めている飯田【写真：Getty Images】
――権威には屈しないぞと、かえって態度を堅くするレフェリーもいるかもしれませんよ。J1で学んだことはほかにもありますか？
「ゲームの流れがどっちつかずで落ち着かないとき、誰かが守備をチャレンジしてペースを引き戻す力がある。サンフレッチェ広島の千葉和彦選手のディフェンスが非常に印象に残っています」
――ここぞという場面で勝負を懸けるディフェンス。
「どの試合でも、どっちつかずの時間帯は必ずあります。J1の拮抗したゲームでは、ここで相手のカウンターを受け、ゴール前までボールを運ばれたらペースを持っていかれる、ラインを下げざる得なくなるという場面があるんです。
そういうときに、リスクを承知でボールを奪いに行き、成功させてペースを引き寄せられる選手。千葉選手のほかに、浦和レッズの那須大亮選手もそうですね。マンツーの状態になってもいい。おれが絶対に潰すから任せろと。チャレンジする怖さはあると思いますが、それでゲームの流れがガラッと変わります」
――昇格争いは、いよいよ大詰め。すんなり自動昇格の可能性もありますが、のるかそるかのプレーオフで燃え盛るアルウィンも魅力的です。
「絶対にいやです。このチームはわりと固くなるところがあるんでね。前回の昇格争いでは、可能性が出てきた早い段階で、がっちがちになっちゃって」
――メンタルの成長が試されますね。いずれにせよ、健闘をお祈りします。最後に、かつての飯田選手のように力を発揮する場所が与えられず、悶々としている若手に言葉をかけるとすれば？
「高校の恩師がよく言っていた、『進歩があれば挫折はしない』。自分がどんな場所にいて、状況がどうあれ、前に進んでいる実感さえあれば、ネガティブに考えることはない。はたして、前に進めているのか、成長できているのか。そのことを自分に問いかけるのが大切だと思います」
（取材・文：海江田哲朗）
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