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Jリーグ 8年前

松本山雅・飯田真輝が抱くサッカー選手の職業観。「勝つことで、周りの人たちを幸せにできる」【The Turning Point】

サッカー選手の旬の時期は人ぞれぞれ。若くして豊かな才能を満開にする花があれば、辛抱強く力を蓄え、やがて咲かせる大輪の花もある。後者は、いかにしてプロの厳しい生存競争をくぐり抜け、脚光を浴びるに至ったのか。のちの躍進につながるターニングポイントに興味津々だ。第2回は松本山雅FCの飯田真輝選手。2010年の夏、定位置を奪えずにいた東京ヴェルディから当時JFLの松本にレンタル移籍で加入し、やがて躍進するチームのランドマークとなった。ターミガンズの最終ラインに飯田あり。今季、二度目のJ1昇格をつかみ取ろうとしている。【後編】(取材・文:海江田哲朗)

シリーズ:The Turning Point text by 海江田哲朗 photo by Tetsuro Kaieda, Getty Images

【前編はこちらから】

「サッカーは仕事で、まずはそれが第一」(飯田真輝)

松本山雅FCのDF飯田真輝
松本山雅FCのDF飯田真輝【写真:海江田哲朗】

――飯田選手が東京ヴェルディに加入する前、私はスカウト担当の方から聞いたことがあるんですよ。「飯田はサッカー選手を職業としてシビアに捉えている。プロになったからには、しっかりお金を稼ぐのが目的だと」。いいなと思ったんです。そういうことをはっきり言う人ってあまりいない。仕事なのにね。

「父親の背中を見て育った影響でしょうね。仕事はお金を得る手段として大切なことだという意識が強くありました。自分にとってサッカーは仕事で、まずはそれが第一」

――プロ入り時の具体的な目標は?

「とりあえず、年収1000万まで到達したら、その先が見えてくるかなと」

――試合に出なければ、勝利給を含め、お金は稼げない。ヴェルディでの2年半、こんなはずではと思ったのでは?

「その話をするには、ちょっと説明が必要かも。僕はもともとヴェルディに行く気はなかったんです」

――なんと!

「行くからにはやってやろうという気になっていましたよ。J1クラブのレギュラー争いが厳しいのは承知の上で。ただ、プロ入り時に僕を必要としてくれたクラブがもうひとつあって、そっちはJ2だった。条件提示はまったく同じ」

――新人が結ぶC契約は年俸480万が上限。同様に支度金の上限が380万。合わせて860万がマックスです。

「はい。両方とも高く評価してくれて、ありがたかったです」

――カテゴリーはJ1とJ2。考えどころですね。現実主義の飯田選手はどういった判断をしたのでしょう。

「まずは早く規定の出場時間(J1で450分、J2で900分)をクリアし、A契約を締結しなければ給料が上がらないシステム。試合に出なければ話にならないんですね」

――ということは。

「自分の希望はJ2のクラブでした。A契約の選手になり、ステップアップを目的とする移籍はそれからでも遅くないと」

――プロを志す若者には参考になるテーマだと思います。別の選手から似た話を聞いたことがあります。最初の条件がいいJ1クラブを選んだX選手と、出場機会を重視してJ2クラブを選んだY選手。X選手はJ1で試合に出られず、やがてJ2クラブへ。Y選手はバリバリ試合に出てA契約に達し、J1クラブからオファーが届く。3年後の年俸はきれいに逆転している。

「そうなりますよね。だから、僕もJ2スタートがいいと考えたんです」

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