日本代表では出場機会は減少も…岡崎がジレンマの中で見つけ出した答え
一方で「ストライカーとしてゴールを狙っていくというのは変わらない」と点取り屋としてのプライドものぞかせ、「点を取らなければ外される」と危機感も常に併せ持つ。
“FW”岡崎としては、チーム内の序列は現状では3、4番手のままである。しかし現在クラブにいる5人のFWのなかで、この日本代表にしかできない仕事があり、そのユーティリティー性が彼を再びレギュラー争いに引き戻した。
日本代表では5試合もゴールから遠ざかり、出場時間も徐々に減ってきているが、レスターでは変わらず必要不可欠な存在である。
本人も当然これについては理解し、「ボランチを助ける役割は、自分にしかできない。誰にでもできると思うが、(ほかの選手は)そこから攻撃に行くことはできないと思う」と言う。
そう、確かに岡崎はまたチーム内で大事な存在として戻ってきた。だがCLで起用頻度が少ないことや、ウェストブロムウィッジ戦でも45分しか使われなかったことからもわかるとおり、絶対の存在ではない。新しいもの好きのラニエリ監督が、1月の移籍市場では、例えばスウォンジーのギルフィ・シグルドソンのようなトップ下の選手の獲得に乗り出す可能性は十分にある。
だからこそ岡崎は「1試合1試合が勝負」というスタンスを崩すつもりはない。「この試合がダメだったらまた代えられるっていう思いで(プレーしている)。緊張感のある試合をいつもしなきゃいけないと思うし、それが充実につながる。練習もそうだし、練習から試合まで、ずっと緊張感がある。ホントに、『勝負してんな』って感じでいる」。
ストライカーとしての自負と試合に出場するためのポジションの妥協。本人にとってはジレンマに違いない。だが岡崎は、必死に競争に挑まなくてはいけないこの新たな局面を、フットボーラーとしてのさらなる成長の糧として受け入れ、勝負している。
(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)
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