不完全燃焼の3枚看板。代表に特別扱いなし
後半頭から久保に代わって本田、後半20分から清武に代わって香川が出場。2人は原口の2点目にはかろうじて絡んだが、それ以外のプレーは物足りなさが見て取れた。本田の方は登場からわずか3分後にゴール前でフリーになる決定機を迎えたが、シュートはGK正面。33分、41分の得点機も決めきれず、「追い込まれれば追い込まれるほど結果を出す」というこれまでの勝負強さが影を潜めた。
香川にしても、前線からの激しいチェイシングなど守備面での貢献度は高かったが、ボールを奪い切ることがなかなかできない。そこが原口との大きな違いだった。終盤には大迫と交代した岡崎も出てきたが、時間が短すぎて見せ場はほとんどなし。最終的に日本は大一番を2-1で勝ち切り、グループBの2位浮上に成功したが、3枚看板は不完全燃焼のまま、2016年最終戦を終えることになった。
「最終予選では自分自身が結果を残してる立場ではない」と香川が先発落ちにある程度の理解を示し、岡崎も「自分が代表で生きる道を探してきたけど、監督は納得していなかっただろうし、僕も1トップで点が取れていなかった。こうなる予兆は去年(2015年11月)のシンガポールくらいからあった」と厳しい現実を吐露。本田に至っては「みんなよかったんで、みんなに聞いてやってください」と具体的発言を避けるなど、3人はそれぞれ違った表現方法で苦境を受け止めている。
2017年以降、彼らが一気に世代交代の波に飲み込まれるのか、踏みとどまるのか。その全ては、今後4ヶ月間のそれぞれの動向次第と言っても過言ではないだろう。
サウジ戦でチーム最年長だった長谷部は「自分より3つ4つ下の圭佑、岡崎、真司が外されてるんで、明日は我が身という危機感もあります。この采配は『試合に出てコンディションがよくないと監督は使わないよ』っていう、各選手に対するすごくいいメッセージになったんじゃないかな」と神妙な面持ちで語ったが、クラブで試合に出てコンスタントに活躍しなければ、代表での出番は確実に減っていく。どんなに実績があろうとも、その現実からは逃げられない。特別扱いはない。その基準が改めて明確になったのがこの一戦だったのだ。