「相手は首位なので、しっかりと叩きたい」(吉田麻也)
同じ轍は絶対に踏まない。自分たちのゴールネットを揺らされなければ、サッカーという競技は負けることはない。グループBで最多となる8ゴールを叩き出しているサウジアラビア代表の攻撃陣へ、DF吉田麻也(サウサンプトン)は対抗心を露わにした。
「相手は首位なので、しっかりと叩きたい。オランダ人の監督のもとでなるべくボールを保持しようという姿勢は見受けられるけど、クオリティーはそこまで高いとは思わないので。つなごうとはするんですけど、最終的にはロングボールが多いかな、と。しっかりとプレーすれば、能力的には僕たちのほうが上だと思うので。あとは自分たち次第ですね」
2010年の南アフリカ、2014年のブラジルと2大会連続でワールドカップ出場を逃すなど、低迷期に入ったと見られた中東の雄・サウジアラビアは昨年8月を境に生まれ変わった。ターニングポイントはオランダ代表監督として、南アフリカ大会で準優勝の成績を残したベルト・ファン・マルヴァイク監督の就任となる。
小野伸二(現北海道コンサドーレ札幌)が所属した当時のフェイエノールトを率い、2001‐02シーズンのUEFAカップを制している64歳の名将のもとで、サウジアラビアは2次予選のグループAを6勝2分けの無敗で1位突破。ドローに終わった3月29日の最終戦でUAE(アラブ首長国連邦)代表に勝っていれば、FIFAランキングで日本を上回り、アジア最終予選の組み合わせに大きな影響を与えるレベルにまでチーム力をアップさせてきた。
快進撃の原動力になったのは、2次予選だけで14ゴールを叩き出したFWモハンメド・アルサハラウィ(アルナスル)となる。2次予選におけるサウジアラビアの総得点が28だから、1987年1月10日生まれの29歳のストライカーは、実に一人で半分を荒稼ぎしたことになる。
もっとも、故障していたのか、これまでに4試合を消化したアジア最終予選で、アルサハラウィはベンチにすら入っていなかった。しかし、折り返しとなる日本戦を前に満を持して戦列に復帰。センターフォワードだけでなく左サイドもこなし、シュートテクニックの巧さに加えて細かいタッチのドリブルも得意とする点取り屋は、トレードマークの「10」番を託されて日本ゴールを狙ってくるはずだ。