ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチア【写真:Getty Images】
クロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの国境にまたがる奇妙なサッカーグラウンドが存在し、国境を越えたボールを拾いに行くためにパスポートが必要になることもあるという。この特殊なグラウンドを使用するクラブの会長が語った興味深い話を、10日付のセルビア紙『クリル』が伝えている。
ボスニアの町ボサンスカ・コスタイニツァを本拠地し、同国の地域リーグで戦うクラブ「FKパルチザン」のグラウンドは、ピッチのサイド側約4分の1がクロアチアとの国境の向こう側の町フルヴァツカ・コスタイニツァに属している。旧ユーゴスラビアの分裂により生まれたというこの状況により、クラブは苦労を強いられている部分もあるようだ。
「国境は我々のグラウンドの上を横切り、コーナーフラッグ付近を通っている。事実上、2つの国の領土内でプレーすることになる」とFKパルチザンのゾラン・アブラモビッチ会長は語っている。
EUに属するクロアチアと属さないボスニアの国境を行き来するためには、パスポートが必要となる。会長によれば、今まで実際に国境警備隊からパスポート提示を認められたことはないものの、国境の向こう側へ転がったボールを拾いに行くスタッフは「念のためパスポートを携帯している」のだという。
選手たちはプレー中に何度も国境を横切ることになるが、さすがにユニフォームの中にパスポートを携帯しているわけではないようだ。「それは必要ない」と会長は語り、クロアチア側とは良好な関係にあることも主張している。国境が分かれる以前にはチームはクロアチアの首都であるザグレブ地域のリーグで戦っており、現在もチームにはクロアチア人選手が多く在籍しているとのことだ。奇妙な状況ではあるものの、大きな問題は起こっていないようだ。
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