ハリルと3枚看板にとってラストチャンスとなるサウジ戦
「キヨも言っていましたけど、わりと自由に動くことでリズムや距離感が生まれたりしたと。試合を見ていて、最初の20分までは4トップみたいな形になっていた。キヨもバイタルのエリアで相手の2ボランチの間でボールを受けようとやっていましたけど、あそこでは受けられない。少しバランスを崩しながら、個人の判断でやっていくことが求められると思います」とも発言。自らが主導権を持って周りを動かす力強さ、大胆さの必要性を強く認識しているようだった。
岡崎とのタテ関係はハリルホジッチ体制発足時からのベースになっていて、2人の連携面については問題ない。9月のUAE戦(埼玉)以降は共演していないものの、3月のシリア戦(埼玉)、6月のブルガリア戦(豊田)などではお互いに活かし活かされる関係を作った結果、香川が複数ゴールを奪う形になった。
「このチームにはいい選手がトップ下にいる。1トップが点を取ろうとするなら、トップ下にボールが入った時がチャンスになる。そういう意味でも、チームの基本は1トップにトップ下だと思う」と岡崎も語った通り、タテ関係の彼らが近い距離感で連動して初めて相手を攻略でき、ゴールを脅かすことができるのだ。
10月のオーストラリア戦では守備的な戦い方を取ったため、消える時間帯の長かった香川だが、今回のサウジ戦はホーム。主導権を握る時間が長くなり、彼の良さも出やすくなる。そのアドバンテージを活かして自らゴールを奪い、日本に勝ち点3をもたらしてくれれば、再び世論を味方につけられる。
日本代表を香川ら3枚看板中心のチームに戻すのか否か。ザックの遺産がこの先も失われず続くのかあるいは最後なのか。ハリル監督が来年も采配を継続できるのか。その全てが今回のサウジ戦で決まると言っても過言ではない。これまでの主力が背負う責任は極めて重大だ。
(取材・文:元川悦子)
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