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日本代表 8年前

【識者の眼】大迫勇也こそハリルJの最適解――。必然の2ゴールに凝縮された“FWとしての理想像”

text by 河治良幸 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

相手を手玉にとった絶妙なポジショニングとボールを受ける技術

大迫
大迫勇也はオマーン戦で2得点記録【写真:田中伸弥】

 大迫はオマーンが形成する5バックの中央に構えるマルブークとマッチアップするような状態になっていたが、そのマルブークが清武に食い付いたことでラインにギャップができたのを大迫が逃さなかった。一歩引いてオンラインに入り、そこから相手ディフェンスの裏を取る形で、清武のノートラップでのスルーパスを引き出す。

 右横からアルムハイニが寄せようとするが、体をスクリーンさせながら右足でボールを止めた大迫は左足のインサイドタッチで右にかわし、GKの逆も取る形でスライディング気味のシュートをゴール左に流し込んだ。“相手のディフェンスを手玉に取る”とはこういうゴールのことを言うのだろう。

 「(本田)圭佑君持ってまた僕がもぐってサコ(大迫)っていうのは、ああいうのはやっぱサイドに人数をかけるとみんながボールウォッチャーになって中が空いてくるし、あのシーンはディフェンスが僕に食いついちゃったんで、攻撃的にはよかったと思います」

 1点目に続くアシストを記録した清武がそう振り返るように、チームとして相手のディフェンスを崩した形であったことは間違いない。それも大迫の絶妙なポジショニングとボールを受ける技術、さらにゴール前の状況に応じて瞬時に最適なフィニッシュを選択できる冷静な判断力が融合してこそのゴールであった。日本代表がここまでのメンバー構成で、なかなかゴールに結び付けられなかった形でもある。

 「落ち着いてできたので、やっぱりゴール前では落ち着くことが大事なのかなと改めて思いました」

 大迫はこの2点目をそう振り返った。ゴール前で実際に落ち着いたプレーができるのは、技術に対する自信はもちろん、常に厳しいプレッシャーにさらされる中で能力を発揮するべき環境に身を置くことで磨かれているものでもあるだろう。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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