丸山は経験不足を露呈。齋藤は代表への適応に苦労
こうした面々に比べると、代表2戦目の丸山とザックジャパン時代以来の出場となった齋藤はやや物足りなさを感じさせた。丸山は開始早々のミスパスで入りに失敗したのか、カウンターから危ない場面を作るなど、やや国際舞台慣れしていない印象を残してしまう。
相手がモチベーションの低いオマーンだったから事なきを得たが、ナイフ・ハザジ(アルナスル)ら強力攻撃陣を擁するサウジ相手であれば失点していた可能性が高い。まだまだ経験が足りないものの、こういうフレンドリーマッチは少ないだけに、今回のミスも含めて経験値を積み重ねていくしかない。
齋藤にしても、左サイドをえぐってマイナスクロスを入れたり、攻撃の起点になるようなプレーはしていたが、横浜FMと代表で求められている仕事が異なるだけに、適応に苦労した様子。「チームが違えばやることも変わってくるし、自分の受けるポジションも変わる。難しいですけど、最後のところの仕掛けは何回も行けた。抜き切るところまでいけなくても、少し仕掛けるだけで相手の動きが変わるので、そこは意識してやりましたけど、もうちょっとできるかな」と本人も自ら向上すべき点を明確に指摘していた。
「こういう試合をもっともっとしたい。日程の問題があってなかなか難しいですけど、それによって競争が生まれたらすごくいいことだと思う」と長谷部も話したが、ハリルホジッチ監督がこれだけ多くの新戦力をトライしたのは初めてではないか。そこは評価すべきだろう。
ただ、肝心のサウジ戦で使える見通しが立ったのは大迫1人ではないか。一足先に代表定着を果たしている若手の浅野が本田と代わって右サイドで先発し、小林、久保あたりがジョーカーとして使われる可能性はゼロではないものの、常連組の牙城を崩すのはやはり簡単ではない。この日の大迫が見せたような傑出した仕事をコンスタントに示し続けることを、新顔たちには強く求めたい。
(取材・文:元川悦子【鹿嶋】)
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