不安なCBの累積警告。小林祐希は幅広げる貴重な存在か
CBは吉田麻也の森重真人が安定しており、ホームのサウジアラビア戦で勝ち点3を取ることだけを考えるなら、彼らで十分かもしれない。ただ、今後に向けて良い意味で競争を活性化させないと中東でのアウェイが続く後半戦やその先の世界を見据えて戦うには心もとない。しかも、2人はすでにイエローカードをもらっており、サウジアラビア戦で累積となれば次戦は出定停止になる。
遅かれ早かれ、少なくとも彼らの1人を欠いた試合が来ることを想定すれば、親善試合のオマーン戦で代わりの選手をテストしておく意味は大きい。
オーストラリア戦の最後に投入され、「トレーニング中も安定性が増して、より自分を表現できる」とハリルホジッチ監督が評価する丸山祐市か。「これから伸びるし、将来のA代表に必要」という植田直通か。吉田か森重と組む形での起用になるはずだが、彼らにとっても生き残りをかけたアピールのチャンスになる。
トップ下は香川真司と清武弘嗣の競争に小林祐希が加わる構図となるが、香川が足首を痛めて9日の練習はホテルで別メニューとなっており、少なくともオマーン戦は大事を取るのではないか。清武は所属クラブのセビージャでなかなか出番に恵まれていないが、日本代表では重要な戦力でもあるため、オマーン戦である程度のプレー機会はあると見ている。
一方の小林は前回キリンカップで呼ばれた後からオランダに渡り、運動量や規律が成長したことが指揮官に評価されている。攻撃的MFとして2人とともに選出された小林は彼らとの競争にも意欲的だが、ヘーレーフェーンでは主にボランチを担っている。
オプションの[4-3-3]を採用する場合はインサイドハーフで起用される可能性も考えられる。香川や清武に刺激を与えることはもちろん、戦術的な選択肢を広げる意味でも小林の起用法は注目するべきポイントだ。
(取材・文:河治良幸)
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