欠かせない存在、主将・長谷部をあえて外す意義
「ただ彼が入ることでアイディアが増える。1つのオーガナイズでうまく行かなかった時に、もしかしたら4トップになるかもしれない」とハリルホジッチ監督。“4トップ”というのはFW登録が4人という意味で、前線に4枚フラットに並ぶという意味ではなく、システム上は[4-4-2]になるはずだが、そういう形が選択肢として起こりうるということだ。
大迫にしても、所属クラブのレスターで2トップの一角を担う岡崎慎司にしても得意とするポジションであり、シンプルな組み立てから前線の特徴を発揮させる。その候補の1人として好調の久保がイメージされていることは間違いない。
「フレンドリーマッチでもしかしたらチャンスがある。1対1を突破できる稀な選手」と指揮官に評価される齋藤のテストもあり、90分で可能な選択肢を全てやるのは難しいだろう。その中でサウジアラビア戦に有効なオプションを探る必要がある。
【3】不安なポジションのテスト
世界を目指す上では全てのポジションに底上げが求められるが、急務となっているのは長谷部と山口蛍に続くボランチの選手だ。今回はいわゆる典型的なゲームメーカーを選ばなかったが、その中でハリルホジッチ監督は2つのタイプに分けて説明した。バランスワークに優れる長谷部のタイプと前に出て行ける山口のタイプだ。
ボールを奪う能力というのはボランチ全員に求められるが、攻撃に関連するオーガナイズでは長谷部と永木亮太、山口と井手口陽介が同じタイプにカテゴライズされているようだ。コンディション次第でもあるが、おそらくこの基準は崩さずオマーン戦で組み合わせをテストするはず。
長谷部の場合はキャプテンとしてチーム全体の統率も兼ねるので親善試合でも外しにくい存在ではあるが、現状で抜けた場合に最も不安な選手の1人であり、90分とは言わないまでも不在の状況を経験しておきたいところではある。
一方で、左SBは起用が流動的なポジションだ。新戦力ではないが、最終予選になって1試合も出ていない長友佑都があらためて起用される可能性は高い。今回は左SBの候補として選出されている槙野智章もオーストラリア戦で存在感を示したが、ホームの2試合が続く中でより攻撃的な役割が求められる。従来通り酒井高徳というチョイスもあるが、連携面も含め長友を入れた状況での再チェックは重要なファクターだ。