インテル、ピオーリ就任を発表。わずか3ヶ月で3人目の監督招聘
8日、インテルはステファーノ・ピオーリ監督の就任を発表した。オランダ人のフランク・デ・ブール前監督は、1日に解任されていた。
就任からわずか3ヶ月、なぜデ・ブール前監督は早々とクビを切られたのか。理由は成績不振とイタリアサッカーへの不適合である。新監督はアヤックス時代よろしく、ハイラインとポゼッションを志向する攻撃的なサッカーを展開する。新戦力のMFジョアン・マリオがヒットし、主将を務めるFWマウロ・イカルディも活躍、第4節ではユベントスにも勝利した。
ところが、その後にチームは大低迷を演じた。攻撃サッカーは短時間でうまく浸透せず、一方でセリエAの相手チームは戦術的に細かく詰めたサッカーで潰しに掛かってくる。アグレッシブに攻める一方でカウンターを喰らいやすく、ボールの支配率を高めたサッカーをしても最後は勝ちきれない、というパターンが続いた。
それに加え、マネジメントの問題も起きた。MFマルセロ・ブロゾビッチやジョフレィ・コンドグビアなど去年の主力だった選手が外され、DF長友佑都もベンチ外となることもあった。そんな様子で結果が出ず、混乱に拍車が掛かったところで、見かねたピエロ・アウジリオSDらが経営権を持つ中国人資本の蘇寧グループに相談。そして第11節のサンプドリア戦に敗れたところで、解任の決断が下された。
「このまま続けていけば強くなる手応えがあったが、イタリアでは時間は与えられなかった」と指揮官は嘆いた。結果が何より重要視されるイタリアの事情に適応できず、理想ありきで現実に沿ったサッカーをしなければ、解任も仕方がないという見方もできる。
しかし、それで済ませるのはあまりも表面的な評価だ。就任から3ヶ月、ただでさえ戦術の考え方が前任者と違うところに、開幕までには時間がなくトレーニングは不十分だった。だいいち、すぐ結果が出せるような状況でないことは誰の目にも明らかだったのに、強化部門が早めに辞めさせようとする方がおかしいようにも思われる。
だが、彼らにその義理はなかった。デ・ブールは彼らが呼んだ指導者ではなく、エリック・トヒル会長らの主導で呼ばれたのだった。