清武や本田を自ら動かすくらいの強引さを
大迫1トップの場合、2列目には試合勘に不安を抱える本田、清武あたりが陣取る可能性が高い。2年5ヶ月も代表戦の出番から遠ざかっている齋藤学(横浜FM)も頭からピッチに立つかもしれない。彼らはいずれも2014年ブラジルW杯経験者。大迫にしてみれば、当時の感覚を取り戻しつつ、自分の新たな色を出せる面々である。そこで手ごたえをつかめれば理想的なシナリオだ。
ザックジャパン時代の彼はどちらかというとどっしり構えてポスト役に徹することが多かった。しかし、ケルンで自信をつけた現在の大迫は、前後左右に幅広く動いてチャンスメークしたり、ドリブルで自ら局面を打開して決定機を作ったり、貪欲にシュートまで持ち込むといった多彩さを持ち合わせている。その長所をより強く押し出すために、清武や本田を自ら動かすくらいの強引さや積極性を出していい。
試合途中からは指揮官が2トップにトライすることも考えられる。そのパートナーは岡崎、久保、浅野のいずれかになるだろうが、大迫は自らイニシアティブを取って、何がやりたいのかをパートナーにしっかりと理解してもらう必要がある。
久保や浅野は年長者で国際経験でも勝る大迫のリーダーシップに期待するだろうし、岡崎もお互いに活かし活かされる関係を構築する器の広さを持っている。仮に短時間でもオマーン戦で2トップが機能すれば、今後の最終予選にもプラスに働くに違いない。
本田や岡崎が思うようにゴールを奪えず苦しむ中、原口への得点依存度が高まりすぎるのは、日本にとっていいことではない。さらなる得点源が求められているのは紛れもない事実。「得点源がそこ(原口)だけじゃなく、もっとたくさん増えればいいんじゃないですか」と語る大迫。
久々に復帰したFWには大きな期待がかかっている。もちろんそれを一番感じ取っているのは本人に他ならない。
(取材・文:元川悦子【鹿島】)
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