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日本人はフィジカルが「弱い」のか? 当たりのタフさだけではない、「強さ」を構成する要素【サッカー用語の基礎知識】

知っているようでよく理解できていない、そんなサッカー用語を普段見聞きしていることはないだろうか。語彙の面からサッカーに迫ることで、より深い理解が可能になるかもしれない。今回は「フィジカル」をキーワードに、サッカー選手の「強さ」について考える。(文:実川元子)

シリーズ:サッカー用語の基礎知識 text by 実川元子 photo by Getty Images

アルゼンチンサッカーの特徴が「フィジカル」?

たびたび日本のウィークポイントとして「フィジカルの弱さ」が指摘されている
たびたび日本のウィークポイントとして「フィジカルの弱さ」が指摘されている【写真:Getty Images】

「サッカー歴史事典」(“Histrical Dictionary of Soccer”)という事典で、アルゼンチンリーグの強豪クラブ、エストゥディアンテスがこう紹介されている。

「ウルトラフィジカルかつ守備的なプレーで、きわめて効率的だがおもしろくないスタイルを発展させたアルゼンチンサッカーの典型が、エストゥディアンテスである」

 同事典のディエゴ・マラドーナの項目にも「彼は身長168センチ足らずにもかかわらず、フィジカル的に敵を圧倒した」とある。アルゼンチンサッカーの特徴は「フィジカルの強さ」にある、ということらしい。

「フィジカルが強い」とよく聞くが、どういうことを意味しているのだろうか? 

 そのまま英語に直訳したphysical strengthを英和辞書で引くと、「体力」「スタミナ」とある。だがアルゼンチンサッカーやマラドーナのプレーは、単に「体力(スタミナ)がある」だけではない。

 たとえば体幹の強さだったり、向かってくる相手をふっ飛ばすほどの強靭な筋力だったりするのではないか。それならばphysical toughnessのほうがふさわしい。

 だがtoughnessには「頑強」「丈夫」のほかに、「乱暴」「ごろつき」という意味がある、「He is a tough guy.」(彼はタフガイだ)というのは決して褒め言葉ではなく、本物のタフガイに面と向かって言うのは勇気がいる。アルゼンチンサッカー(そしてマラドーナ)のプレーの特徴として、「physically tough」(フィジカル的にタフである)というのはあたっているような気がするが。

 それはさておき、ウルトラフィジカルなプレーで相手を圧倒するサッカーは、見る人を(恐らくやっている選手たちも)楽しませるものではない、というのが事典の著者の意見である。

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