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ケイン、アーセナル戦で示した万能型ストライカーの価値。トッテナムは台風の目になるか

text by 舩木渉 photo by Getty Images

代役として期待されていたオランダ代表FW

今季からスパーズに加入したフィンセント・ヤンセン
今季からスパーズに加入したフィンセント・ヤンセン【写真:Getty Images】

 まだプレミアリーグでブレイクする前の2014年頃、当時背番号18でプレーしていたケインは「典型的な9番タイプ」と思われていた。大柄な期待の若手ストライカーで、ポストプレーやヘディングの強さが持ち味という評価だ。

 だが、実際に継続して試合に出場するようになると、全く違うタイプだったことが徐々に明らかになる。ケインは188cmの長身ながらパワーで勝負するタイプではなく、しなやかさとインテリジェンスを備えたモダンなストライカーだった。

 継続してプレーすることで急激に成長していった部分もあるが、ただ最前線でボールを待っているのではなく中盤まで下りて組み立てに絡んだり、おとりになってスペースを作るために走ったり、自らボールを持ってドリブルを仕掛けたり、プレーの幅が非常に広い万能アタッカーとしてチーム内に自らの地位を確立していった。

 いまや攻撃の中心は完全にケインであり、負傷で欠場していたリーグ戦5試合は負けこそないもののゴールの形をうまく作れず2勝3分と苦しんだ。

 背番号10の代役として起用されていたのは今夏オランダのAZから獲得した同国代表FWフィンセント・ヤンセンだ。昨季エールディビジ(オランダ1部)で34試合出場27ゴールを記録して得点王に輝き、その実績を引っさげてプレミアリーグに殴り込みをかけてきた。

 しかし、今のところ新しい環境でのサッカーに順応できていない。今季リーグ戦で奪ったゴールはわずか1つで、公式戦全体では3ゴール。それなりに決めているのでは、と思われるかもしれないが、すべてPKによるものだ。

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