「(Jリーグデビューは)ちょっと早かった」(久保)
はっきり言って異常だった。J3にデビューする1人のために7653人の観客が集まり、180人を超えるメディアが大挙して押し寄せる。その中心にいたのは15歳の中学3年生だ。明らかに普通ではないだろう。
久保建英が15歳5ヶ月1日でJリーグデビューを飾った。この事実は賞賛されるべきだが、果たして15歳をスターのように祭り上げ、必要以上のプレッシャーを与えることが前途ある少年のためになるのだろうか。
試合後、久保は自らを囲む報道陣に対して率直な思いをぶつけた。「最初に入った時はすごく緊張した」というのはもちろんのこと、「(Jリーグデビューは)ちょっと早かった。レベル的にはまだちょっと難しいなというのがある」と語っている。
さらに「注目されて嬉しいとかそういうことはない。今は違うんですけど、サッカー選手になった時は注目されなくなったら良くないなと思う。いまは別に、あまり注目して欲しくないなというのはあります」と、過度な注目に中学生らしい本音を漏らした。
久保は自分の置かれた状況と、そこで何をすべきか、自分の成長に必要なことは何か、ということを誰よりもしっかりと理解している。だからこそ取材対応で現状への危機感を口にしたのではないだろうか。
もちろんJリーグの舞台を踏んだ経験は彼にとって非常に大きなものになっただろう。「ここからどのくらい差があるかというのがわかったので、その差を詰めていけるチャンス」とJ3初出場をポジティブに捉えている部分もある。ユースとは違うパススピード、当たりの強さ、判断の速さなどは財産になったはずだ。
それでも久保のJリーグデビューは早すぎたのではないか。取材を進めるうちにその思いは強くなった。