選手たちが示した“フローレ”
精神論というといささか曖昧でアナクロな印象を持たれるかもしれないが、競技をする上では本質である。「故障で夏に出遅れ、ここまで出場機会に恵まれていなかった。その悔しさを出してくれたことを、指揮官として嬉しく思う」とラパドゥーラについて語ったモンテッラ監督は、「試合をものにするには“フローレ(激情、熱意)”が必要だ」と精神面を盛んに強調していた。
これまでのミランに足りなかったものは何だったのか、そして若手を育てる上では何が重要かを考えて、モンテッラ監督が選手たちをマネジメントしていることの表れである。
初先発となったマリオ・パザリッチや、故障が癒えてチャンスをもらったマティアス・フェルナンデスなど、これまで出場機会に恵まれていなかった選手たちもこの日は良いプレーを見せていた
「私にとってまず重要なのはチームだ」と断言するモンテッラ監督のもと、選手たちは試合ごとに成長を果たしている。プレーの内容がどうとかいうこと以前に、この雰囲気を尊重しチームの貢献に努力できるかどうかが、主力のみならず全ての選手たちに問われている。
(取材・文:神尾光臣【パレルモ】)
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