逆転勝利呼んだ2人のキーマン
しかし、だからといってこの日のミランの戦いぶりが批判されるべきではない。むしろ、この展開を覆して勝利をもぎ取った彼らのパフォーマンスには、上位の実力を裏付ける確かな説得力があった。
まずは右ウイングのスソだ。前線のこぼれ球に狡猾に反応し正確なシュートを蹴り入れた彼は、その後も攻撃のイニシアチブを取り続けた。ただボールに多く触ってチャンスを作るだけでなく、前線のスペースへ積極的に走り必ずシュートでプレーを完結する。
自らへのファウルで得たエリア前のFKを豪快に蹴って枠へと入れ、続くCKのこぼれ球を拾って鋭いミドルシュートを放った後半29分のプレーには、嫌な流れを断ち切るだけの迫力があった。
そして後半37分には、途中出場のジャンルカ・ラパドゥーラが大仕事をした。試合を通して存在感が希薄だったカルロス・バッカに代わって投入された昨季のセリエB得点王は、スソのミドルシュートをヒールで流して勝ち越しゴールを決めた。
投入されてわずか3分後、その前にもラパドゥーラは前線に流れたボールへ食らいつき、淡白だったバッカとは違うムードをチームにもたらしていた。そういう気迫を見せていたところに、チャンスは来るものである。
【次ページ】選手たちが示した“フローレ”