今回もジュビロを救った松浦拓弥
「いかに相手にとって危険な位置でボールに触れるか。あとは中盤でどうやって絡むか。ジェイがある程度キープできると思うし、近くにいることが必要かなと。スタメンでも途中からでも、求められていることは変わらないと思う。より間でボールを受けてチームを前向きにさせることは、自分のいいところでもあるし特徴だと思う」
その言葉通り、積極的にボールを呼び込み、前線では元イングランド代表ストライカーに寄り添った。
2008年、J1・J2入れ替え戦での松浦の大活躍を覚えている人も多いのではないか。当時J1・16位の磐田とJ2・3位の仙台が対戦。松浦はアウェイで1得点、ホームでも2得点を記録し、サックスブルーをJ1に踏みとどまらせた。
当時19歳だった若者は、今年28歳を迎える。流れを変えるスーパーサブは、スタートからピッチに立っても味方を気持ちよくプレーさせた。
「やはり、ボックスの手前で前を向くことができる、推進力を持てるというところ」に名波監督は期待していたという。さらに「ジェイへのサポートのアングルも常に正しかったので、ジェイの落としやセカンドボールに対して前向きにプレーできたんじゃないか」と評価した。
一方で「合格点ではあるけど、個人的には彼の出来にはそこまで満足していなくて」と話すあたりは、指揮官の松浦への“愛”を感じさせるところだが、言葉はここで終わらない。しっかりとした理由があった。
「本人にもハーフタイムに言ったが、ちょっと遠慮していたり、人に任せているところがあった。ボールサイドに常に顔を出せという中では、ちょっと物足りなかったとは思う」
背番号11も反省の言葉を口にする。
「もっともっとボールを呼び込めたと思うし、前を向けたかなというのもある。ジェイ、アダとボールが入った時に、次の動きでもう一度呼び込めたらさらに前に行けたのかなと。ただあの2人は強烈だし、彼らだけで行けちゃうというのもある。そういう意味では、その側でサポートすることはすごく重要だった」
松浦が出色の働きを見せた時には「俺の好きなアイツのプレーが出たね」と笑みを浮かべる。また宮崎は、名波監督が「サッカーをよく知っている」と最も信頼を寄せる選手の一人。彼ら2人がこの試合キーマンだった。