風間体制の集大成へ
J1のレギュラーシーズンが終わり、ここからは天皇杯、CSと負けたら終わりの厳しい戦いが始まる。もうリーグ戦で見せたような一瞬の隙も見せられない。選手たちはタイトル獲得へのラストスパートに向けて何を思うのだろうか。
「本当にみんながそれぞれ伸びてここまでやってこれていると思うんです。楽な試合は1つもなかったし、タイトルへの欲をそれぞれのパワーに変えて、自分だけじゃなくてみんながやってきた結果です。たしかに今日の試合だけ切り取ればもったいないし、『何やってんだ』と言われても仕方ないですけど、1年間やってきたことは消えない。
1stステージの悔しさが2ndステージに生きた部分もあると思うし、これだけ勝ち点を稼げた年もいままでなかったわけで、本当にみんなでよくやった結果だと思います。ただここから先は別の戦いになる。いいところはいっぱい残っているので、そこの質をどれだけ上げられるか。(CS準決勝は)ただホームで鹿島を叩く、それだけだと思う。そのベクトルだけをみんなで合わせてやれればいいと思います」
この中村憲剛の言葉がいま川崎Fの進むべき道をはっきりと示している。クラブのすべてを知り尽くした男だからこそ、今季のタイトル獲得にかける思いは強い。
谷口も中村に近い考えを持っている。「うちのサッカーの生命線は『やり続けること』。どこかで『これくらいでいいや』とか、止めちゃったりしたらすぐ今日みたいな流れになってしまう。みんなが自信を持ってボールを受ける、顔を出す、前にいくというのを90分間徹底してやらないとこういう展開になってしまう。どこかに『これくらいでいいや』という気持ちがあったら……もっともっと緊張感のある空気を作っていかなければいけない」と、高いレベルで一体感を醸成する必要性を説いた。
タイトル獲得ほど風間フロンターレの集大成としてふさわしいものはない。これまで構築してきたサッカーと進むべき道を疑うことなく、全員のベクトルを同じ方向に集約してクオリティを極限まで高めれば、おのずと歓喜の瞬間が近づいてくるだろう。
(取材・文:舩木渉)
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