「失速という書かれ方をして悔しかった」
「昨シーズンだったり、これまでは悔しい思いをしてきた。よく『残り何試合で失速』という書かれ方や言われ方もして悔しさももちろんあったし、学んできたこともあったのでその中で戦ってこれたのが大きかった」
キャプテンの阿部勇樹は、淡々とシーズン終盤戦を振り返った。近年の浦和は、失望とともにシーズンを終えている。あと1勝すればタイトルに手が届いたところを、次々と勝ち点を取りこぼして優勝を逃し、“失速”と酷評されることも多かった。
しかし、今季は最終節までに6連勝を収めるなど好調を維持。横浜FM戦でドローとなったことについて、阿部は「勝って決めたかったかな。そしたら他会場なんて気にしなくてもよかったので」と悔やんだが、終盤戦に勝ち点を積み上げたことが年間1位に結びついたことは間違いないだろう。川崎の逆転負けという運も味方した。
そして、その6連勝の間に浦和は埼玉スタジアムでルヴァンカップ制覇を遂げている。浦和が主要タイトルを獲得するのは2007年のACL優勝以来、実に9年ぶりのことだった。
「ルヴァンカップがあって、PK戦でしたけど勝てたっていうところがチームとして今までと変われた一歩になったんじゃないかな。それが今日まで続いたのかなと思う」と、ルヴァンカップ獲得がチームの生まれ変わったきっかけになったと阿部は語る。
また興梠も、「最終節で勝ち点を獲れずに全てが台無しになってきたシーズンが多かったので、ひとりひとりその悔しさは忘れていなかったと思う。一番大きかったのは、ルヴァンカップでタイトルをひとつ獲ったことでみんな自信がついたこと」と、9年ぶりの戴冠の重要性を感じている。
今まで忘れかけていたタイトルの味を思い出したことで、チームに確かな自信が植え付けられたのであった。