順位を上げるために必要な攻撃の構築
ユナイテッドのサイドアタッカーのプレーはサイドに張ってボールを受けるところから始まる。そこから1対1を仕掛けてクロス、中央の選手やSBとのコンビネーションで深くえぐる、カットインからのシュートが主な選択肢であるが、1トップを務めるイブラヒモビッチが下がってボールを受けるシーンが多いだけに、その空けたスペースに飛び込んでいくことを増やす必要がある。
実際に4点を奪ったレスター戦ではリンガードが頻繁に裏へ抜ける動きを繰り返していたが、バーンリー戦ではそういったシーンから作り出したチャンスはあまり見られなかった。サイドアタッカーが横の幅を取りながらも、縦も深く使うことで相手ディフェンスラインを下げさせ、マタのパスコースを増やし、プレースペースを広げていきたい。
ジョゼ・モウリーニョという監督が基本的には強固な守備と鋭いカウンター、攻撃は個の能力に頼って数々のタイトルを手にしてきたことは事実であり、チームとしての攻撃を構築することに長けた監督でないことは事実だ(それでもレアル・マドリー時代にはリーガ史上シーズン最多得点を挙げたこともある)。
選手個々の力に疑う余地はなく、その力で何とかしてしまうことケースがあった。しかし、マンチェスターダービーやアウェイでのリバプール、チェルシー戦などのビッグクラブ相手の試合ではチームとしての完成度の差を見せつけられた。
その個の能力を生かす環境を整え、特に好調をキープしているマタのプレーを中心とした攻撃を構築していくことが必要だ。いつまでも個の力に頼っていては得点も増えていくことはないし、順位も上がっていくことはない。
(文:小澤亮太)
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