攻撃的に戦ったペスカーラ。ミランは苦しみながらも掴んだ勝ち点3
17位ペスカーラと対戦したミランだったが、相手を圧倒しての勝利とはならなかった。エムバイェ・ニアンのシュートがポストを叩き、スソが3度作った決定機を味方が決めきっていれば苦しまずに勝てた試合であったことも確か。だが、ペスカーラが良いサッカーをしてきたことが接戦の大きな要因だったという感想を持った。
格上相手のアウェイ、しかもサン・シーロの一戦であるにも関わらず彼らは自陣に引かず積極果敢に攻めてきた。前線からアグレッシブにプレスに行って中盤のスペースを消し、ミランの後方からの組み立てを制限する。そしてボールを奪えば多くの選手を攻撃に送り込み、細かくスピーディなパスワークで敵陣を崩しにかかるのだ。
中でも、ジャンルカ・カプラーリにアフマド・ベナリ、そしてアレクサンドル・ミトリツァで構成された前線の1トップ2シャドーの動きは秀逸だった。それぞれが豊かなスピードに高い技術を兼ね備えている彼ら3人は、めまぐるしく互いのポジションを入れ替える。時にワイドに広がったかと思えば、収縮して細かくパスを回し、また裏のスペースも果敢に狙う。個々の技量とフィジカルの差は、連携と動きの質でカバーするという表現がぴったり来るサッカーだった。
普通イタリアで残留を目指すチームは、負けを回避しようと慎重に守備的なサッカーをするものだ。ところが若手中心でチームを編成するコンセプトを持つペスカーラは、攻撃的に戦うことについて経営陣からもファンからも理解を得ている。
「クラブは2年前に、どんな相手にも技術重視の攻撃サッカーを仕掛けるという方針を立てた。もともとこういうサッカーしかできない選手たちが揃っていることもあるし、クラブもファンも我々を支持してくれている」。マッシモ・オッド監督は試合後にそう語った。
だが、勝ったのはあくまでミラン。前節もジェノアに敗れているし、昨シーズンまでならショックの癒えぬままペスカーラにも失態を見せたであろうところだったが、彼らは持ちこたえて勝ち点3を手にした。「確かに苦しめられたし、相手を圧倒はできなかった。しかし、苦しみながら勝つ方法を知っている方が、より多くの勝ち点を稼ぐことができる」とヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は語っていた。