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レアル、強固な守備を破った“個の力”。ロナウド以上に現地メディアから称賛された「修理工」の存在

text by 高橋康光 photo by Getty Images

現地メディアがロナウド以上に評価した「修理工」

コバチッチ
現地メディアから大きな称賛を集めたマテオ・コバチッチ【写真:Getty Images】

 ここでもペジェグリーノ監督の言葉を持ち出すが、「最後の2失点でゲームが終わった。我々はよく戦った。サッカーとは効率的なものだ」と述べ、「マドリーは選手のレベルが非常に高く、類稀なプレーによって相手にダメージを与えるのに多くを必要としない。我々のシュートはキーパーに収まり、彼らのシュートはゴールに入るのだ」とマドリーの質の高さについて言及している。

 そのペジェグリーノ監督は77分、判定に異を唱え退席処分となった。この時点ではまだ1-2とゲームはまだわからなかったが、マルセロの素晴らしいロングボールから生み出された、84分のモラタの3点目が勝負を完全に決定づけた。

 こうした、試合途中に次々と送り出されたモラタやルーカス・バスケスといったスペイン代表クラスのレベルの高さも他のチームにはないものだ。チームとしての底力が最終的に4-1というスコアに反映されたと言えるだろう。

 この日、ハットトリックを決めたロナウドの復活に注目が集まりがちだったが、多くのメディアがマテオ・コバチッチに高評価を与えている。『アス』紙では「95.7%のパス成功率をマークし、マドリーで最も完璧なプレーを見せた。全てにおける、修理工のような彼の黙々とした仕事ぶりはジダン監督にとって金で買えないものである」と評している。彼も同胞のルカ・モドリッチの負傷離脱により出場機会を増やした控えプレーヤーだ。

 アラベスは自慢の5バックを決して目に見える形で攻略されなかった。だが、アラベスには不運な判定があったことを差し引いても、90分に渡る強力な個の力のプレッシャーに耐え続けることはあまりにも難しいミッションだった。

 連動性には欠けていても、主役脇役問わず、強力な“個”がきちんと技術を発揮すればこうした結果になるのだろうか。欧州王者の地力を見た。

(文:高橋康光)

【了】

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