細部を分けたプレーの正確さ。アラベスが払った激しい守備の代償
マドリーはボールを支配するものの、アラベスの5バックのディフェンスに終始手こずった。足元へのパスが多く、特にロナウド、カリム・ベンゼマの両FWの動きが圧倒的に少ない。特にベンゼマは、67分間の出場でボールタッチ数30回と、負傷によって前半途中で交代となったDFペぺとGKのケイラー・ナバスを除くスタメンで最少に留まり、アルバロ・モラタとの交代を余儀なくされている。
現地紙『アス』もこのフランス人FWには「またしても面白味のない試合。同胞のジネディーヌ・ジダン監督の彼への庇護が日ごとに理解不能になる。モラタのプレッシャーが強くなっている」とチーム最低の評価を下されていることはチームのマイナス材料だ。
ペジェグリーノ監督が「前半はPKを含めての1-2、相手も楽にプレーしていたようだったが、後半立ち上がりは互角だった。しかし、イエローカードをもらっている選手も多く、プレッシャーを緩めねばならなかった」と振り返るように、マドリーはアラベスの5バックを崩し切ってはいないものの、後半も半ばを過ぎると、個の力の差が徐々にボディーブローとして効き始めてきていた。
激しい守備の代償にアラベスは9節終了時で30枚とリーグワースト2位のイエローカードをもらっていた。このゲームでもマドリーを上回る17度のボール奪取を見せているが、5枚のイエローカードをもらい、15度のファウルを犯している(マドリーは6度)。
その一方で、タックルへのチャレンジ数はマドリー25回(うち成功率80%)、アラベス18回(うち成功率72.2%)という数字も残る。つまり、マドリーの方がムダなファウルやカードが少なく、より効率的にデュエルを行っているということがわかる。
また攻撃面でも、前述したパス本数のうち、マドリーの成功率が85.5%に対し、アラベスは82.6%、それが相手陣内に入ると、マドリー78.9%に対し、アラベス75.9%となる。こうした細部における攻守のプレーの正確さが、試合が終盤になるにつれて大きな違いを生み出すことになってくる。