サガン鳥栖のMFキム・ミヌ【写真:Getty Images】
明治安田生命J1リーグ2ndステージ第16節が29日に行われ、サガン鳥栖は横浜F・マリノスと2-2で引き分けた。
すでに今季限りでの退団を表明した鳥栖のキム・ミヌにとっては最後のホームゲーム。7年間在籍した愛するクラブへの強い思いを抱いて臨んだ試合で、背番号10は自らの花道にふさわしい先制ゴールを挙げた。
22分、ピッチ中央でボールを受けたキム・ミヌは自らペナルティエリア内まで運び、深い切り返しから左足でゴールを狙う。それほど勢いのないシュートだったが、コース上にいた選手がGKの目隠しになってゴールネットに吸い込まれた。
試合後に行われたセレモニーでマイクを取ったキム・ミヌは、日本語で8分間にわたって感謝のメッセージを読み上げた。事前に用意してきた手紙の形式で披露された感動的な言葉の数々によって会場の多くのファンが涙を流していた。
「7年間、サガン鳥栖のファミリーから受けた大きな愛情とたくさんの思い出をこの手紙ですべて伝えることはできませんが、少しでも私の気持ちを表したくて手紙を書きました。その何物にも代えることができないくらいの、たくさんの愛情をもらえたと思います」
韓国で兵役中に軍のチームでプレーするためにはKリーグでの実績が必要なため、Jリーグでしかプロの経験がないキム・ミヌに選択肢は残されていなかった。本人も愛する鳥栖のためにプレーするのは今季が最後とわかっており、今年にかける思いは人一倍強く、キャプテンという重責も果たした。
熱のこもったスピーチが終盤になるとキム・ミヌの目には涙が浮かび、言葉に詰まる。鳥栖への溢れ出る愛情が嘘偽りない本心であることが誰の目にもわかる感動的な場面だった。そして最後にこう宣言した。
「私は、またいつの日か、みなさんの熱い応援を背に、サガン鳥栖のユニフォームを着て、ここベアスタのピッチに立てる日を夢見ています!」
キム・ミヌとサガン鳥栖は相思相愛で、未来永劫その関係が終わることはないだろう。再会できるのは最短で3年後。兵役を勤め上げて一層たくましくなったキャプテンと再びともに戦う日を、サポーターも選手達も心待ちにしているはずだ。
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