待望のタイトル獲得も、指揮官の視線は未来へ
実際のところ、ペトロヴィッチはすでに次の挑戦、そしておそらくは次の次の挑戦へと目を向けているかのようだ。決勝終了後の会見に臨んだ指揮官はほとんど笑顔を見せることもなく、試合の詳細部分に意識を集中させ、自分のチームが勝利にふさわしかったとメディアが考えているかどうかを気にしている様子だった。
「運があったかどうかという話をすることもできるし、もちろんそれも試合に影響する部分ではある。例えば今日も相手のシュートがポストを叩いて入らなかったし、最後はPK戦での勝利だった」とペトロヴィッチ監督。ガンバの呉屋大翔が120分のチャンスを惜しくも決められなかった場面への言及だった。
「PK戦になれば運が大きく物を言うと個人的には思うが、去年のチャンピオンシップ準決勝ではガンバがオウンゴールを入れそうになったボールがポストを叩き、そこからカウンターで彼らの方がゴールを決めた。あの試合全体としては我々の方が不運だったと思うが、ガンバには勝利の資格があったと感じた者もいただろう。今日の試合に関しては、我々の勝利はどう捉えられるのだろうか。勝利の資格があったのか、それとも幸運だったのだろうか?」
結果よりも過程にこだわるのは、もう10年間にわたってJリーグで自身の哲学を微調整し続けてきた指揮官のいつもの姿だ。
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