「必死に(監督の意図を)つかみとろうとしていた」(酒井宏樹)
対して計17本のシュートを浴びせたPSGは、ゲーム終盤、ボランチのモッタに替えてベン・アルファを投入するとほぼ4トップ体制で遮二無二ゴールを奪いにいったが、マクスウェルがフリーで打った中距離弾、ヘセの絶好の左クロスを受けたカバーニのシュートなど、際どいチャンスはいずれもわずかにポスト外に逸れた。何度トライしても枠内を射ぬけずにグラウンドにうずくまるカバーニの姿は痛々しかった。
新監督と初顔合わせとなった金曜に戦術を確認し、土曜に軽く実戦形式で試して日曜日には本戦、という、なんとも急ごしらえのプランではあったが、スタンドから俯瞰する限り、マルセイユはチーム全体が的確に指示を守って機能的に動いているように見えた。
この日も右サイドで先発起用された酒井宏樹いわく、この2日間、「PSGが相手だったこともあって、みんな必死に(監督の意図を)つかみとろうとしていた」、とのことで、そんな選手たちの闘魂が形になって現れたような渾身のディフェンスだった。
酒井にとっても右サイドに張り出したこのポジションは初めての経験。
「すごく難しかったです。細かいポジショニングもありましたし、100%理解して入っていなかったので」と話したが、試合中に選手同士で話しあって細かく修正しながら、「時間を追うごとにしっかり守れるようになった」という。
マルセイユファンならハラハラ・ドキドキで正視できないほどPSGの猛攻を受けたラスト10分も、ピッチ上のマルセイユ陣営は、「最後の5分くらいは危なかったですけど、中に入ってると……(外から見るより落ち着いていられる)。序盤の20分のほうが強かった」と、冷静にコントロールできていたようだ。
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