シュート0も「負けなかった」マルセイユ
いっぽうPSGはウナイ・エメリ監督が着任以降試行錯誤を繰り返していたが、9月下旬にトゥールーズ戦に敗れて第7節にして早くも2敗を喫すると、それを機に、次戦のCLルドゴレツ戦から、戦い慣れたモッタ、ヴェッラッティ、マテュイディの中盤トリオに戻した。そうして前年までのラインナップで戦うようになると目に見えて調子は上がり、以後4連勝中と、ようやくエンジンがかかりだしたタイミングにあった。
現在12位のマルセイユが、その王者と彼らの本拠地パルク・デ・プランスで対峙するにあたり、ガルシア監督がとったのは、極めて「現実的な」策。マイボール時と相手ボール時で両サイドバックが可動する3-5-2/5-3-2の守備的フォーメーションだ。
『Droit au But』(ゴールへ向かってまっしぐら!)という攻撃的サッカーをスローガンに掲げるマルセイユがこれだけ受け身で戦うのもめったにないことだが、ガルシア監督の狙いは、とにかく勝ち点を「1」でもいいからとって、チームに自信を植え付けることであり、その狙い通り、マルセイユは渾身の守りでクリーンシートをキープし、価値ある0-0のドローをものにした。
Opta社のスタッツを見ると、ボールポゼッションはPSGが70%、さらにマルセイユは、シュート数ゼロ、という完全なディフェンシブゲームだった。ちなみにマルセイユが試合中に1本もシュートを打てなかったのは2006年以来、なんと10年ぶりのことだという。さらには2006年以降、欧州5大リーグで1本もシュートを打たなかったチームが”負けなかった”のも初めて、とのことで、マルセイユはある意味、歴史に残る偉大な試合をしてしまったわけだ。