実質2日という準備期間を承知で契約
ガルシア自身はこのオファーを聞いて「考えることすらしなかった」と即決だったことを明かし、「マルセイユは、本来いるべきポジションにいない。しかしローマに着任したときもそうだった。ファンを失望させないような試合をしたい」と自信をのぞかせた。マルセイユはフランス一プレッシャーも大きいクラブだが、「ローマのそれに比べたら何てことはない」との言葉を残している。
ガルシアに的を絞って交渉していたというエロー会長はその理由について、「フランス国内リーグで2冠を達成している手腕に加え、欧州でも成功している。マルセイユの今後の計画は、フランス国内だけでなく、世界での成功を見据えたもの。それを鑑みたとき、国内外で経験豊富なガルシア氏ほどうってつけな人材はいなかった」と話した。
ちなみにこのエロー氏は、競馬新聞『パリ・テュルフ』などを発行する出版社を率いるなどメディア界で活躍する敏腕ビジネスマン。ハーバード大学でMBAを取得後は、クラブ・メッドやユーロディズニーで広報関連の仕事をした経験もあるからか、語り口はスムース、身のこなしもスマートで、黒縁メガネの似合う切れ者風だ。
新会長は「なにより、ガルシア監督がこのオファーを承諾したタイミングに、彼のガッツや精神力の強さが現れている」と絶賛した。普通なら、注目度も半端でないPSGとのクラシコが過ぎてからサインするだろう、と。しかしガルシア監督は、実質2日という準備期間を承知で契約、初陣で『フレンチ・クラシコ』に挑んだのだった。
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