非常にオーソドックスな基本コンセプト
内山篤監督が率いるU-19日本代表はタジキスタンを4-0で破り、5大会ぶりに世界への扉を開け放った。終わってみれば快勝だが、1つひとつはプロセスがある「サッカーという表裏がある」(内山篤監督)競技におけるプロセスを踏み外すことなく進めた結果だ。
「選手が判断を共有できるということで。ですから、その環境を私が作ってきただけで、選手がプレッシャーの中でそういうものを掴んでいってくれる」
そう語る内山監督は前回大会をコーチとして経験しており、その悔しい思いを引き継ぎながら、“継続性”をテーマに新たなチームを強化してきた。基本コンセプトは非常にオーソドックスで、現代サッカーの参考書をそのまま形にしたようなスタイル。システムも[4-4-2]を固定的に使用する。
しかし、だからこそ選手が状況に応じて自分たちの特徴を組み合わせ、その適材適所がうまくはまれば、1+1が3なるような現象も生まれてくる。逆にそこが停滞してしまうと11人が足し算にもならなくなってしまう。例えばイエメンとの初戦は典型的な悪い事例かもしれない。
内山監督が大会のターニングポイントにあげるカタールとのグループリーグ第3戦を3-0と快勝した日本は1位で準々決勝に進出し、サッカーでは新興勢力のタジキスタンが相手になった。過去に同じステージで韓国、イラン、北朝鮮に煮え湯を飲まされた日本としては、経験値の部分で与し易い部分があったことも確かだ。
もちろん、勝負というのは流れで形勢が大きく変わる。実際に有力候補のオーストラリアがタジキスタンに敗れていることからも、日本にとって落とし穴は潜んでいたはずだ。だが、グループリーグで逞しさを増した選手たちは冷静に試合をコントロールした。