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日本代表 8年前

ザックJ、最後に挫折した「日本化」。「自分たちのサッカー」の致命的な弱点【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

すべてが間違っていたわけではない

 1-0で折り返せたにもかかわらず、逃げ切り策のない日本は長谷部→遠藤という攻撃的な交代しかできず、前半の消耗によって遠藤投入でも流れは変えられず。2点を失って緒戦を落とす。ボールを支配されれば日本の良さは出ない。負けるべくした負けた試合だ。

 ギリシャ戦は攻め勝つべき試合だったが、決め手を欠いて0-0。最後のコロンビア戦でようやく日本らしいプレーができたものの、カウンターを阻止できず1-4。カウンターをうけたときのDFの質的不利は、ポゼッション+ハイプレスの戦術で致命的な弱点だ。それを抱えたまま「自分たちのサッカー」で押し切れるほどワールドカップは甘くなかった。

 キャンプ地の選定ミスなども重なり、ブラジルで力を発揮しきれなかった面もあった。しかし、それまでのザッケローニ監督の仕事はほぼパーフェクトで、代表史上でも最強のチームを作り上げている。守備を固めた相手から2点以上とるには個の力が足りず、被カウンターにも弱いのだから、結果論でいえば「自分たちのサッカー」は無謀な試みだったともいえる。

 ただ、すべてが間違っていたわけではない。JFAは的確な処方箋を出し、強化を図るべきなのだが、過去の例を振り返ると、部分的な敗因をあげるのみで、強化方針は次の監督に丸投げだった。その点で、新監督に選出したハビエル・アギーレ監督がどんなチーム作りをするのかが注目された。

(文:西部謙司)

【了】

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