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モウリーニョ、古巣凱旋で受けた「屈辱」。敵将コンテによる“煽り”と過去最悪の大敗

text by 山中忍 photo by Getty Images

チェルシーファンの「モウリーニョ思慕」は終焉を迎えたのか?

モウリーニョ
モウリーニョ監督はチェルシーで数々のタイトルを獲得してきた【写真:Getty Images】

 4-0とされた瞬間、チェルシーのベンチ前で助監督に抱きついて喜ぶコンテの横で、モウリーニョは静かに眉だけを動かした。頭の中では既に次節以降の戦い方に考えを巡らせていたのかもしれない。開幕3連勝で早くもマンUに風格を甦らせたかに思われたが、続くリーグ戦6試合で1勝のみという不安定な戦いぶりを見れば、新監督がマンU復興の手段を模索中であることは間違いない。

 その迷いを払拭するきっかけとなるのであれば、エリック・バイリーが膝に怪我まで負った最悪の大敗にも意義はある。

 第一にポグバの生かし方。キーマンとなるべき新MFは、2ボランチの一角、攻撃的MF、そしてトップ下でも試されてきた。関連して、マタとウェイン・ルーニーも務めたトップ下の人選、チェルシー戦で実際にはポグバよりも前にいたマルアン・フェライニの使い方、中盤に安定感をもたらすがリーグ戦で先発のないマイケル・キャリックの扱い、リーグ戦で1ヶ月以上得点のないズラタン・イブラヒモビッチに代わる、マーカス・ラッシュフォードやアントニー・マルシャルの1トップ起用の是非など、決断を要する事柄は多い。

 メディアでは、9節終了時点での14ポイントに留まっている勝ち点が3年前のデイビッド・モイーズと同じだと指摘されている。1年目の解雇という運命でもモイーズに追しかねないとでも言いたげだ。

 だが、危機説は行き過ぎ。「屈辱」のチェルシー戦にしても、イブラヒモビッチが枠内にヘディングを打って1-1としていれば、逆に前節まではリーグ戦での失点数がマンUより多かったチェルシーの守備が乱れた可能性もある。

 その守備の改善を主眼とした3バック制採用がもたらした立ち直りと新時代の兆しにより、チェルシーファンの「モウリーニョ思慕」は終わった感がある。しかし、マンUのモウリーニョに見切りをつけるのは時期尚早というものだ。

(取材・文:山中忍【ロンドン】)

【了】

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