確立されたミランのスタイル。攻撃での貢献で失地回復を
ともかく起用された場合、言わずもがなだが本田に求められるのは勝利への貢献、すなわちフィニッシュへの絡みである。今のミランは高い位置からのボール奪取と、ピッチを幅広く使いつつ素早くスペースを突く攻撃をスタイルとして確立しつつある。
その流れを意識し、攻撃を演出できるか。集中を保ち、キレのあるプレーで速攻を繰り出せれば今後スソと交互に起用、ということにつながるかもしれない。もちろんダメであれば、序列は変わらないということになるだろう。頑張って欲しいものである。
相手のジェノアだが、今季からイバン・ユリッチ監督が指揮をとっている。選手としてもコーチとしても長年このクラブで指揮をとったジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督(現アタランタ)で働いてきた人物で、早い話がガスペリーニの直弟子である。
戦術もそっくりで、3-4-3システムの踏襲はもちろんのことオールコート気味にマンマークで張り付いてくる守備戦術も踏襲している。加えてユリッチ監督はフィジカルトレーニングにより注力し、ハードな当たりとスピーディで力強い速攻を仕掛けてくる。前節行われたサンプドリアとのジェノバダービーでは2-1と敗れたが、試合内容自体は互角だった。
本田に対しては3バックの一角が張り付き、密着して前を向かせないようにしてくるだろう。その時にプレッシャーに耐えられるか。そしてシンプルに周囲を使って攻撃のスピードが上げられるかどうかが勝負どころとなる。
地元ジェノバではチャンピオンズリーグ決勝より大事な試合といわれるダービーを落としたことで、ジェノアはそれこそ気力をむき出しに向かってくることだろう。それに対し、ミランはユーベ戦の勝利の代償としてメンタル面で消耗した状態で当たることになる。その時チームが頼りとするのは、ターンオーバーでチャンスをもらった選手の頑張りである。
チームにの勝利に対する意欲と、失地回復を目指す執念がどれほどのもので、それをどれだけプレーの内容に反映できるか。出番が与えられるなら、本田には意地を見せて欲しい。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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