硬くなった前半。一気に盛り返した後半
明治安田生命J1リーグ2ndステージ第15節・名古屋グランパス戦、ジュビロ磐田は1-1で試合を終えている。前半だけを切り取れば、不安の残る戦いだった。
PKは磐田から見るとやや不運な判定にも思えたが、FKやCKからヒヤリとする場面も何度か作られた。田中マルクス闘莉王のヘッドはカミンスキーがセーブし、直後には永井謙佑が押し込もうとしたところに宮崎智彦が懸命に頭を出して難を逃れるなど、追加点は許さなかった。しかし、攻撃ではチャンスを作れずシュート1本に終わった。ジェイ、アダイウトンは相手の警戒を上回るような働きができなかった。
「前半ちょっと硬くなってしまった部分は残念」と太田吉彰は振り返る。“負けられない一戦”という見えない重圧が、選手たちにのしかかる。
だが後半、クラブのレジェンドに率いられた選手たちは見違える姿をピッチで見せることになる。名波浩監督は、前半を終えてロッカールームに戻ってきた選手たちについて明かす。
「嫌な時間帯で先制されて嫌な空気が流れたと思うが、選手たちはハーフタイムにも非常に強い声かけをしていた」
ベンチスタートだった松浦拓弥はこう話す。
「全員でやっていくしかない、とみんなが前向きに捉えていた。だから後半すぐに追いつけて、チームとしても前がかりになれた」
彼の言葉通り、磐田は47分にジェイのゴールで同点とすると、その後はボールを支配しながら試合を優位に進めていった。1-1と痛み分けに終わったが、残留争いのライバルから2ポイントを取り上げたと考えれば、前向きなドローだろう。
何より、閉塞感が蔓延した最近の試合を思えば、内容に大きな改善が見られたことは明るい材料だ。