暗闇を彷徨うモイーズ、「名将への称号」を取り戻せるか?
確かに、モイーズには若手を積極的に引き上げて独り立ちさせてきた実績があり、エヴァートンでいえば、トニー・ヒバートやリオン・オズマンがそれに当たる。現サンダーランドでは、イーサン・ロブソン、ジョージ・ハニーマン辺りに期待をかけているといわれるが、それとてラヴやグーチ同様、少なくとも現状打開の決め手にはなり得そうにない。
その辺りについては、元アイルランド代表で、モイーズのもとエヴァートンでプレーしたケヴィン・キルバーンが「問題の核心」を述べている。
「モイーズが来た頃のエヴァートンにはまだ、ダンカン・ファーガソン、デイヴィッド・ウィア、アラン・スタブズ、リー・カーズリーといった強い個性とリーダーシップを持つベテランがいた。今、サンダーランドに必要なのは、チームの核となり得る歴戦の顔役だ。そんな連中がせめて二人、いや一人でもいれば、期待の若手も徐々に使い物になる。きっとモイーズも、来年1月に向けてそんな“大物”を物色していると思うのだが…」
お目当ての人材がはたして誰(と誰)なのか、国内か海外からか…。可能性だけなら、その探索先は勝手知ったるグディソン・パーク、あるいはスペインのいずこかに?
もはやなりふりかまってなどいられない。どん底のチーム状態に浮上と逆襲の転機をもたらすキーマンの到来に、サンダーランドファンは希望の橋を架けるしかあるまい。異才デイヴィッド・モイーズが、色あせつつある名将の称号を再び世に問うためにも。
(文:東本貢司)
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