チームはリーグ戦3連勝も前途は多難か
試合後、バルセロナはイニエスタの6~8週間の離脱を発表しており、アルダ、ラフィーニャと攻撃的なポジションのプレーヤーが相次いで離脱しているだけに、ゴメスの一刻も早いアジャストが待たれる。
その後、バルセロナは62分にコーナーキックの流れからのスアレスのゴール、94分にメッシのPKで逆転に成功はした。しかし、試合を通じバレンシアの守備ブロックを崩し切ったという場面は少なく、MSNのイマジネーション頼みの印象は否めない。冒頭に挙げたパス本数もチーム1位がセルジ・ロベルトの97本、以下マスチェラーノの91本、ウンティティの83本、そして5位にディニュの61本となっており、DFラインで持たされていたという印象だ。
これだけのゲームを披露しながら、勝ち点を取れずに終えたプランデッリ監督は「チームの働きに満足している。フィジカル面、アグレッシブさという意味で非常に難しいゲームだった」と振り返る一方で、「審判はバルセロナをリスペクトしすぎた」と皮肉を述べている。
一方のルイス・エンリケ監督は、後半立ち上がりの入り方の悪さを指摘しつつも勝利へのスピリットを見せたチームを称賛している。
策士プランデッリ監督のプランにはまったといえるバルセロナであったが、泥臭い勝ち方でも結果的に勝ち切るところはさすが王者というべきか。しかし、今季は例年以上に、バルセロナに対し恐れを見せずに激しく向かって来るチームが多い。
MSNの個の力に依存した攻撃という相変わらずの状況に、ケガ人も続出という台所事情。公式戦3連勝と息を吹き返したように見えるが、その前途は決して明るさに満ちているという状態ではない。
(文:高橋康光)
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